あなぐらのなかにいる

感情のことをつらつら話します

文庫化された、相沢沙呼「雨の降る日は学校に行かない」を読んでほしいという話

自分の死ぬほど大好きな本が、文庫化されました。

 

 

思春期特有の、人間関係の悩みにぶち当たっていく少女たちを描いた短編集。作者はミステリー作家だからなのか、最後まで読んでみるとちょっとした仕掛けがあったり。

四六判時代から何度も読み返している作品なので、書いてる今でも心が躍っています。めでたい。

さて、これを友達に薦めるとなると当然、飛んでくる質問があります。

 

「どんな話なの?」

 

……えっと、保健室登校する子の話とか、死にたいって気持ちをノートに書き続ける子の話とか、自撮りしてる子の話とか、学校に息苦しさを感じている女子高生の話……

 

なんて言ったら渋い顔をされて牽制されます。自然な反応だと思います。けど大筋としてはこんな話なので、下手に脚色して話してもしょうがないし。

 

――いや、でも、でもさ、読んでよ!!! この作品を!!! 面白いから!!! 言うほど重くないから!!!

 

というリピドーが爆発したので、あの頃上手く薦められなかった自分への戒めも込めて、「雨の降る日は学校に行かない」を今一度推していきます。

 

 

前述の通りこの作品は、何かしらの生き辛さ、コンプレックスを抱きながら学校生活を送る女子高生の話です。

もはや差別的スクールカーストの縮図はあるし、人と話すのがどうしようもなく苦手な子もいるし、自撮りすれば暴言を吐かれる話もあるし、既読無視した結果いじめを受けている子の話もあります。

今ではニュースやネットで散見する、何とも生々しい出来事ばかりであり、読めば読むほど否応なしに心が抉られていきます。思春期の闇を体験してきた人間なら尚更です。

ですが肝心なのは、そんな学校に溢れる問題に対して、主人公が劇的成長をして乗り越えていくとか、いじめに立ち向かい問題解決するとか、そういう話ではないです。

自分の弱さと向き合い、受け入れていく。とても純粋で、泥臭い話です。

家族に特別問題がある訳ではない。けれど自分が周りに馴染めず、どうしようもない人間だと自覚して、けれど決して自分のことを助けてくれる王子様がいる訳でもなくて。胸に秘めた気持ちを打ち明ける相手も居ない。だから息苦しい。

そんな境遇の中で辛くて吐きそうでも、泣きそうでも、自分の足で第一歩を踏み出す話です。

例えばそれは、保健室の外の世界に目を向けることだったり、カップルだとからかわれた異性の友達との付き合い方だったり、教師からもクラスメイトからも"普通じゃない"と排他された中で学校に行く意義についてだったり、様々です。

 

「コンプレックスのない女の子なんて、いない。」

 

四六判の帯で書かれている坂本真綾さんのコメントですが、この一言に尽きると思います。女子だけでなく、男子も同様に。

自分の中にモヤモヤした学校観があるなら、人の目の色を伺いながら生きていた経験があるなら、ぜひ読んでみてください。

文庫だから!!!買い求めやすいから!!!